中華製エアバンドレシーバーキットの組立と改造 まとめ

このキットの組立・改造は第一ステップ(受信周波数のカウンタ表示)、第二ステップ(デジタル局発化)となっています。また更に第三ステップを計画中です。

第一ステップは標準ケースと外付け周波数カウンタです。

F_counter

 

第二ステップではタカチのYM-180ケースに受信機基板、Arduino,Si5351a,LCDなどを収めました。

受信機外観

受信機セット構成は 中華製エアバンドレシーバーキット+Arduino UNO互換CPU+Si5351aデジタル制御発振器+ロータリーエンコーダーやスイッチ+液晶表示となっています。

ケースの中はこのようなブロック構成になっています。

受信機の構成

Inside case

こんな感じで操作します。(YOUTUBE)

第三ステップは現在構想中です。

 

1.概要--始めに

AMAZONEで2000円ぐらいのエアバンドレシーバーキットが売られており、これは面白そうと買って組み立てました。完成後バラックセットのまま電源入れワッチしてみると、近辺空港に離着陸する飛行機と空港の管制などとの通話が明瞭に受信できます。これはコスパよいキットと言う感想でした。標準ケースに入れ、周波数カウンタを外付けして使っておりました。

しかしながら、市販の広帯域レシーバーより一桁安く、コンパクトでコスパよいものの、このキットの残念感は「受信局発の不安定なところ(注)」と、「その不安定な局発漂動に対応できる受信帯域の広さ(注)」です。

注:局発の共振回路は可変容量ダイオードにボリューム可変で電圧を与え、周波数を可変する方式です。中間周波数フィルターはFM放送用セラフィル(航空無性帯域の十倍以上ある通過特性)を使っています。隣接したチャネルが受かります。ちょっとぐらい周波数が外れていても受信できます。

航空無線の通信はいつも電波出しっぱなしではなく、時折発生するものなので待ち受けする必要があります。放送波なら、探してチューニングし連続受信していますが、エアバンドは指定周波数(それも複数チャネル)に合わせ安定に待ち受けできることが望まれます。

ということで、このキットに改良・改造を重ね、安定受信できるよう作り上げたのが、第二ステップで紹介する受信機セットです。

①局発を外部デジタル方式にし、受信周波数を1kHz単位で設定可能。チャネルメモリー(50ch)、チャネルメモリーに対してのスキャン機能。

②受信信号強度をSメーター表示。

③中間周波数フィルターは狭帯域FM用を使用。無信号時ノイズが減少。

 

続いて、第一ステップの「キットの組立の説明」、「受信周波数表示のための周波数カウンタ追加」について説明します。

2.中華製エアバンドレシーバーキットの組立・改造・改良  第一ステップ

AMAZONEやeBAYなどで販売されているキットをまず買います。基板の種類がいくつかあります。今のところ主流なのは初段フィルターのコイルがプリント基板のパターンで形成されてものです。(このコイルとキットに入っているコンデンサーの組み合わせでは帯域がずれるようです。対応の仕方を試したので、追って説明します。)

・参考ブログ [中国製エアバンドレシーバーキット]基板キットはアマゾンで買えます

また、キットを買う前に理解しないといけないのは、このキットのレベルです。送られてくるキットには部品表と回路図ぐらいしか説明はついてきませんし、基板のバージョン、時期により、部品が変わっていたり、図面と部品表が違っていたり、基板裏に部品を追加したりしないといけません。また、部品不足、余剰もあるので、一筋縄では行かないのが当たり前と思って取り組んでください。

そんなことをもあり、キットを組立てで苦労した先人が残した組み立てマニュアル(manual.pdf )があります。私の方でそれを和訳しましたので、参考にしてください。

①.中華製エアバンドレシーバーキットの組立 (組み立てマニュアルV3.1等を参考にし、組み立て後トラブルシューティングを追加したマニュアルです)

 ・参考ブログ 中国からキットが届きました。組み立て前の準備。

 ・参考ブログ エアバンドレシーバキットを組み立て前に部品 整理(テスターとかLCRメーターで素子の値などを事前確認しながら組み立てると思わぬ間違いの発生が防止できます。急がば回れ方式です)

 ・参考ブログ エアバンドレシーバー パワーオン後チェック 局発調整 (このキットの成否は局発動作が肝だと思います。この時周波数カウンタが役に立ちます。)

局発調整

 ・参考ブログ 水晶発振ユニット46MHzを発振させ3倍波を調整用信号源に

 ・参考ブログ キット組み立て時のトラブルシューティング (デジタルテスターで各端子電圧を測り、組み立て間違いを見つけようというアイデアです。)

端子電圧リスト

②キットの回路改良1 (本件はイタリアのロベルトさんから情報をもらいました)

 ・参考ブログ エアバンドレシーバーキット組み立て後の改造改良TIPS

③局発周波数カウンタの接続

中間周波数は10.7MHzです。したがって、局発は受信周波数+10.7MHzを発振しています。受信周波数表示を行う周波数カウンタは局発カウントから-10.7MHzした表示に設定します。中華製周波数カウンタキット(LCD表示)にIFオフセット機能が付いているものがあります。これを採用、周波数オフセット値をセットします。

 ・参考ブログ 周波数カウンターユニット

AMAZONEやeBAYで売られているPLJ-0802-CやPLJ-1601-Cが周波数帯域、IFオフセットに対応しております。

 ・参考ブログ エアバンド受信機キット、ケースに入れ、周波数ユニットは外付け

④キットの回路改良2 (基板パターン―コイル版における初段フィルター特性改善)

初期版ではエナメル線コイルと可変コンデンサだったようですが、最近の版ではプリント基板パターンコイルと固定コンデンサでフィルタの周波数特性を決めています。エナメル線コイルと固定コンデンサの時は通過帯域悪くなかったです。海外のフォーラムでも基板パターンコイルは低域にぶれているというような指摘があったようです。また、E24系列のコンデンサ値では特に直列共振回路の値がむつかしいように思います。セラコンを隣のコイルの上に倒すというテクニックを使って帯域通過特性を改善しました。(ほんまかいなと思いますが、VNAで確認しました)

 ・参考ブログ PCBパターン型フィルターの帯域特性改善 PCBパターンコイルのフロントエンドフィルタの調整

⑤キットの回路改良3 (スケルチの改良)

切り替えポップ音がぷつぷつとうるさいので、切り替えを静かにしてみました。

 ・参考ブログ スケルチを触ってみました

⑥専用ケースに入れてみました

またこのキットの基板寸法に合わせたアルミケースが売られています。コンパクトでぴったりなのですが、周波数カウンタまで内蔵するスペースはありません。局発の信号を外部にコネクタで取り出すようにし、周波数カウンタを外付けでつなぎました。

 ・参考ブログ 中国製受信機キット用の標準ケースを買いました

標準ケースへ入れた基板

3.デジタル局発化による安定受信、狭帯域受信(第二ステップ)

デジタル局発はいくつか試してみました。一番初めはMC145163を使用したPLLシンセサイザです。2SK241のVFOでは帯域幅が思ったように取れず、次にDDSを検討しました。手ごろなDDSは50MHzぐらいまでなので、逓倍必要です。それよりも丁度150MHzまで可能というデジタルクロック発振器Si5351aを知りましたので、これを使うことにしました。

次に制御用のマイコンですが、まずはPICで手掛けてみました。出来が今一つで、今後の拡張も勘案し各種IOのライブラリーが豊富なArduinoniに切り替えました。Arduinoでi2c接続を活用、さらなるIO類の拡張もできると期待しています。

途中脱線ですが、Arduinoはいくつか試してみました。UNO,UNO互換チビディーノ、秋月UNO互換基板などです。

さてデジタル局発とArduino制御ですが、次の機能を盛り込むことにしました。

・ロータリーエンコーダーによる周波数の可変

・4つのファンクションスイッチによる FREQ設定、STEP設定、チャンネルMEMORY設置、SCAN設定です。それぞれ短押しで機能選択、長押しでEEPROMへの書き込みとしました。

・16文字2行のLCDへ周波数やモードやSメータ表示をおこなう。 

・Sメーター表示:AGC電圧をアナログポートで取り込みLCDに表示する。

 ・参考ブログ 中国製航空無線受信機改造用局発のアルディーノ移植  「Arduino UNO」に変更

 

局発を外部から取り入れるように改造しました。

 ・参考ブログ 外部局発入力改造「エアバンドレシーバーキットの改造」

また、局発のデジタル化で受信周波数が安定したので、中間周波数のフィルタをセラフィルからXtalに変更しました。簡単に入手できるものはナローバンドFM用なので、AM帯域より広いですが、ステレオFM用のセラフィルに比べると帯域幅が1/10なので、ざわざわノイズがずいぶん減りました。

タカチのYM-180ケースに受信機基板、Arduino,Si5351a,LCD,ロータリーエンコーダーSW類などを収めました。電源は12VのACアダプタ、スピーカーは外部接続です。

以上のように、2020年末まででステップ1、ステップ2まで進みました。

 

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