R80航空無線受信機キット基本機能と組み立て方紹介 V1.0 |
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このキットは飛行機と管制塔との間で行われる無線通信(エアバンド通信)を受信するためのものです。良好なアンテナ(例えば、VHF用八木アンテナ)と組み合わせると、周りが開けたところなら150kmぐらいの範囲で各種飛行機と管制塔との通信を受信できます。
この説明ではハードウェアV6.0を扱っており、基板の版はHAM00ABRC_6です。
主な性能
・電源供給:12V(ノイズ回避のためリニア式電源かバッテリーをお勧めします)
・アンテナ接続:不平衡50Ω
・平均受信時消費電流:90mA
・受信周波数:118MHzから136MHzをカバー
・動作モード:AM
回路の基本的な説明
詳しくは別な説明書最終ページにある回路図を参照してください。アンテナで受信した信号は初め帯域フィルターに入り、次にMMIC高利得アンプへと入ります。帯域フィルターの機能により118MHz-136MHzだけの信号がMMICに入力され、他の信号を最大限減衰させます。フィルターされ、増幅された信号は第一ミキサーのNE602に入力されます。同時にNE602ミキサーはPLLにより作られる局部発振信号を受け取ります。この受信機はスーパーヘテロダイン式なので、PLLが発生する周波数は受信信号から10.7MHz高い周波数です。
この受信機の第一中間周波数は10.7MHzです。NE602ミキサーで混合された出力信号10.7MHzはセラミックフィルターに送られます。ここではミキサー回路などで発生した不要成分をフィルターし、第二ミキサーMC3361に信号を送ります。第二ミキサーでは10.245MHzの第二局発信号により455kHzへ変換し、第二中間周波数増幅のTA7640に送ります。TA7640は更に振幅変調信号検波を行い音声出力信号を作ります。
音声信号は可変減衰回路FM62429で音量調整、スケルチ調整のための利得制御を受けます。その後音声信号はLM386で増幅されヘッドフォン端子に出力されます。同時にもう一つMC3361にも送られ、スケルチ信号に使われます。
使用部品について
1000pF以下のコンデンサは高周波用セラミックコンを使い、1μF以上のコンデンサはアルミ電解コンを用いています。また抵抗器は250mWで5%誤差です。
部品リスト
はんだ付け作業での注意事項
背の低い部品から部品表に従い、取り付け・はんだ付けしてください。
まず表示基板にデジタルICやロータリーエンコーダーやその他の差し込み部品を付けた後、次のようにメイン基板へ表示基板をはんだ付けします。
キット部品の中に3mm厚の白いスペーサが4つ入っているので、表示LEDをはんだ付けする際に高さ調整で使ってください。
組立製作とデバッグについて
半田付け前にデジタルテスターなどで各部品のチェックをしてください。そして回路図と基板のシルクを頼りに組付けます。一般的に部品の背が低いものから高いものを順に取り付けます。その際にICソケットはICをはんだ付けしてしまわないために必要です。すべてを順に進め、実装チェック後、電源をつなぎます。この時+-を間違わないようにしてください。ウオークマン用イアホンをコネクタにつなぐとホワイトノイズ(サーと言う雑音)が聞こえるはずです。NE5204のピン番2を指で触るとノイズ音がおおきくなるはずです。これで基本的な受信動作ができていると思われます。この後60㎝長ぐらいの柔らかい線をアンテナとしてつなぐと、ノイズは更に大きくなると思います。ここまでくるとRF部分の動作は基本問題ないと思われます。
この受信機の部品で調整必要なのはL1,L2,T1です。もし測定器がないときは、125MHzの水晶発振回路を用意するといいでしょう。発振器に電源を供給し、アンテナ線ワイヤにこれを近づけます。そして、受信周波数を125MHzに合わせ、注意深く、信号が最も強く、明瞭になるようL1,L2,T1を調整します。この事例ではL1,L2の金属コアが外れるまで回しても調整が取れなかったので、15pFへ並列に1.5pFを追加しました。それでも金属コアが出かかっています。
ビジュアル的にこの帯域フィルタを調整したいときにはnano VNAが役立ちます。アンテナ自作なんかを考えておられるなら、メーカ製アンテナを買う費用ぐらいで手に入ります。
PORT0とANTを繋ぎ、U1の入力#1にPORT1をつなぎます。
eBAY
この受信機の電源投入時の初期設定周波数は121.5MHzになっており、なお、この周波数は緊急時通信用の周波数です。もし受信機の動作環境がそろっていて、L1,L2,T1の調整した後すぐにアンテナにつなぐとこのチャンネルが受信可能になります。
写真のようにこの受信機の操作ノブやボタンは左から、ロータリーエンコーダー(周波数調整・機能機のっていう)ノブ、同調表示LED(受信信号強度表示)機能設定LED、機能設定ボタン、イアホンジャックとなっています。
電源プラグは内側が+、外側が-となっています。
アンテナ組み合わせ
VHFの電波は直線で伝わるので、VHF帯のレーダーがもしあったとして、邪魔が無い(障害物)がないときと同じように、通信でも電波はブロックされません。管制塔からの電波を聞きたいときにはこの点に注意必要です。地形や建物などで遮られると電波エネルギーは減衰し届きません。なので高度を飛ぶ飛行機の離着陸や飛行中の方が聞きやすいです。飛行機は高度数百mから数kmの上空を飛ぶので、電波到達距離は遠くなります。なので良い受信結果を得るには高いところに屋外設置した4分の1波長(60cm)GPアンテナとか、VHF八木アンテナのようなアンテナがお勧めです。端的に言うと、良好な実用アンテナとの組み合わせが良い受信結果をもたらします。
専用アンテナの設置は次のようにします。
初心者にはGPアンテナか八木アンテナをお勧めします。
これらアンテナは簡単な構造で自作に向いています。GPと言うのはグランドプレーンの略で下図のような形です。このアンテナは垂直偏波アンテナとも呼ばれ、縦偏波の無指向性アンテナです。このアンテナの構成は垂直のエレメント(ラジエター)と3、4本の水平エレメント(ラジアル)からなります。アンテナ回転機は必要ありません。一般的に基地局用で用いられます。建材店で金属棒と金属板を調達してきて作ります。
次に示す絵は八木アンテナを示します。このアンテナは指向性があり利得があります。もし可能ならこちらがお勧めです。
金属パイプの支柱の場合はアンテナ放射の電界方向に対し位置は直角でないといけません。アンテナの放射性能に影響します。絵にかいていませんが絶縁が必要です。ブームは金属パイプで良く、エレメントの間は絶縁する必要はありません。
組み込み用ケース
回路基板は標準市販のアルミ88x30x120mmケース(このキットには含まれていない)に入れることができます。下記に使えそうなケースを紹介します。
使い方説明
通常の電源投入後には設定LEDの緑色LEDが光り、デジタル数字表示は周波数が表示され、エンコーダー操作による周波数選択モードにあることを示します。(周波数設定モードがデフォールトです)この時、エンコーダを回せば周波数表示は、例えば121.5MHzならば1215と言うように連続的に変化するのがわかると思います。
100kHz
10kHz
電源オン時デフォールトでは1クリック100kHzステップで周波数の表示は1215になり、121.5MHz(1215*100kHz
)を受信していることを示します。
ロータリーエンコーダーのノブスイッチを押すと10Khzステップに変わります。そして4桁表示数字は周波数の最初の1桁目を取り去り、215.0と(121.50MHz=1215.0*100kHz)表示されます。ノブを回すと10Khzステップで変化します。100kHz
に戻したいときはノブを押して切り替えます。(100kHzステップに戻っても、10kHz以下の値は覚えているので、例えば10kHzモードで121.15kHz(表示は215.5)と設定した後、100kHzモードに戻したら1215と表示されるが、周波数は124.15kHzのままです。)
機能切り替えタクトスイッチを押すと機能設定LEDが赤に光り機能設定モードに入ったことを示します。このときLED
表示は2_10のようになり、2は音量設定中、下二桁が音量レベルを示します。0から25までのレベル値が設定でき、大きい数字ほど高音量となります。(2_00でも音量は0になりません)
更にもう一度スイッチを押すと、3_XXと表示され、下二桁はスケルチレベルになります。0から25が設定でき数字が大きいほどスケルチ作動点が高くなります。(すなわち、高いレベルほど受信信号が高くスケルチ開放されます。)
更にもう一度スイッチを押すと4_33の表示となって、25MHz水晶発振器周波数の差分調整になります。デフォールトでは33になっており、単位は100Hzです。デフォールトの33では25,000,000Hz+33*100Hzとして設定されています。もし受信信号に偏差があると感じられたら、PLL基板上の25MHz発振信号を周波数計で測り、試験値と25MHzとの差分をこの機能で周波数偏差分として設定してください。
これらの機能設定モードに入った後、もしキー入力とかロータリーエンコーダークリックが3秒間押され無ければ自動的に周波数調整モードに戻ります。同時に周波数モード終了時と音量調整の3秒間待ち終了後には、自動的に現行周波数や音量値をEEPROMに記憶します。そして次に電源投入された時にこれら設定値はEEPROM値から呼び出されます。
電源ノイズに弱い
この受信機のスケルチはノイズスケルチです。信号がないときにスピーカーから出ているサーッというノイズを検知し、スケルチをかけています。そのためにサーッと言うノイズに近い信号成分があると、受信信号があってもスケルチは閉じます。スイッチング型の定電圧電源はものによっては100kHz近辺で発振しているので、この周波数成分を拾うとスケルチが不安定になります。
従って、低ノイズのスイッチング電源を選ぶか、トランス式ACアダプタを使うことをお勧めします。
また、LED照明器具からこの帯域にノイズが出ており、スタンド灯やシーリング照明などからの影響を受けます。
受信信号表示LED
更にこの受信機には同調表示の赤LEDが付いています。受信信号が大体-90dBmより強くなると点灯します。
Edited by nobcha
https://nobcha23.hatenadiary.com/
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