―――Arduinoを使ってLCメーターを作ります。まずは起源と原理から。 English Page
イギリスのマルコーニ社の技師だったC.S.フランクリンが発明したとされるフランクリン発振回路はLC共振回路を使い、位相反転増幅器(3極管増幅器)と組み合わせ、発振させる方式です。このフランクリン発振回路とマイコンの周波数カウンター機能を組み合わせ、基準Cを利用し発振周波数から連立方程式を解くことで被測定LあるいはCの値を求めるという方式が今回紹介するLCメーターです。
アイデアは1988年ごろに東独の技術者の方が発案され、AADE社がキットを発売し、1995年ごろのオーストラリアのアマチュア無線誌に掲載されたのが始まりと聞いております。日本ではストロベリーリナックス社により10年以上前から製品化されています。
Arduinoを使うLC測定のやり方ですが、LC値の導出計算方法は次になります。
<![if !supportLists]> a. <![endif]> 基本回路のLCで発振させ、周波数値を取得
<![if !supportLists]> b. <![endif]> 基準C(計算時に数値の根拠となるので精度の良いものを使う)を並列に入れて周波数値を取得
<![if !supportLists]> c. <![endif]>F1=1/2*π*sqrt(C1*L1)、F2=1/2*π*sqrt((C1+C2)*L1)
<![if !supportLists]> d. <![endif]>F1,F2,C2が既知なのでこの二式から連立方程式の解としてC1とL1を求める。
<![if !supportLists]><![endif]>
<![if !supportLists]> e. <![endif]> 被測定L2をL1へ直列につなぎF31=1/2*π*sqrt(C1*(L1+L2))からL2を算出する。
被測定C3の場合は並列につないでF32=1/2*π*sqrt((C1+C3)*L1)から算出する。
以上からArduinoのスケッチで必要な処理は「周波数のカウント」「測定時のLCつなぎ替え」「周波数からインダクタンスやキャパシタンスへの変換」「SWリレー制御とLCD表示」となります。スケッチはGITHUBで公開しております。上記の処理を淡々と書いたものなのでコメントが不十分ですが、ご理解していただけると思います。
回路ですが、まずフランクリン発振回路に74HCU04を使います。74HCU04はロジック回路インバーターですが、実は周波数特性の良い高利得FETとして使えます。
基準Cの切り替えにはリレーを使います。半導体で切り替えできないことはありませんが測定範囲が狭まってしまいます。またL測定、C測定の切り替えに二極双投のスイッチを使います。
表示は繋ぎの楽なi2c方式LCD(16文字X2行)にしました。
回路図は次になります。
バニラシールドなどのブレッドボードに組めば実験は簡単にできます。自前測定器として試作するためプリント基板を作製してみました。基板はKiCADで設計し、中国PCBメーカーに発注依頼しました。
部品表は次のようになっています。
基板を組立、nanoのUSBポートから電源投入。バナーが表示されました。
続いてスイッチをキャリブレーション側にします。リレーにより、参照用標準コンデンサ1000pFが並列に入りf1とf2を測り、測定値算出ベースになるLC発振回路のL値とC値が取得されます。参照用基準フランクリン発振回路の共振回路定数は504pF(使用コンデンサー表記では470pF)インダクターが20uH(コイル表記では22μH)と出ました。
エナメル線コイルのインダクタンスを測ってみます。長岡係数を使った空芯コイルの計算ではΦ5L7-10tだと0.24μHとなりますが、測定値は0.197μHとなりました。
更に小容量コンデンサとして、シルバードマイカコンデンサー1pFを測ります。
操作説明のビデオをYOUTUBEに掲載しました。 https://youtu.be/LxzoExQPcYk:embed:cite
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