LTSPICEを使って電子回路の動作を確認してみる   nobcha@2012
 

1..電子回路実験-昔話

 ワタシは古い人間なので、電子回路実験=基板への半田付けというような定式で捕らえていました。今から数十年前に勤務先でマイコンを使った機器開発をした際には、まず回路図を鉛筆書きし、トレースして、ユニバーサル基板でざるそば様にテフロン配線が浮き上がった基板をつくり、動いたら回路図を書き直し、次に回路図からパターンを書き下し、基板屋でアートワークやってもらい、できた基板の誤配線未配線を今度はルータで削ったり、半田で隣パターンをブリッジさせたりし、さらにテフロン線を使ったジャンパ線でざるそば大盛りを作ったりしてました。アナログ回路を作るときは電卓でパラメータ計算し、後は実装した後に測定してみてチューニングするようなトライアンドエラー、まあ残業で大変でした。

 時はめぐて、その後通信機メーカに転勤しました。時々実験室を覗いてエンジニア職人が何をやっているのか、技を盗みに行きました。ルータとか彫刻刀でストリップライン削り、はんだ盛りやったりしているのは昔ながらだと思ったのですが、ベンチに並んだSG、スペアナ、オシロ、ネットアナに加えてノートパソコンがあります。何やってんのと聞いたらRLCパラメータの計算をやっているそうです。スーパー職人はオンラインでADS(アジレント社)とつないでおり、普通職人はPSPICEとかLTSPICEを使っていました。特にフィルタなど作るときはシミュレータと実験の掛け合いでトライアンドエラーしつつまとめるようでした。

 なるほどと納得、真似をしてLTSPICEを趣味自作生活に導入しました。それまでもPSPICEの本を買い勉強してたんですが、実用にはいたっておらず、ところが、LTSPICEの方はすぐ役立つようになりました。

 

2.無償でSPICEが使える、回路図エディタがついている

 PSPICEでも結構なものだと思ってましたが、制限有りとか、回路図描くのが慣れなくて使い勝手がちょっととか・・。ところが、使いやすい回路図エディタがついて、制限なしで、SPICEモデルも流用できるという夢のような条件の電子回路主ミレータがリニアテクノロジーズ社から無償で提供されていたのです。その後LT社に負けじと同様なシミュレータが最近各社から出てきましたが、LTSPICEはすでにアマチュア界に定着し、CQ出版社などから解説本も出ている環境も含めると一番のお勧めかと思います。(ここではLTSPICE Wを前提に話を進めています)

 

3.インターネットから情報を仕入れる

 まずはちょっと試しにやってみるかと思ったら、インターネットで情報集め、試すのも手ごろでよいかもしれません。しかしながら系統的に取り組むのなら本も必要です。LTSPICEの操作をトレースして、一から読むならLTSPICEの本が手軽ですが、SPICE共通の機能について知りたいのなら、PSPICEの本の方がしっかりしており良いのかもしれません。シミュレータのエンジン部分はみんな共通なSPICEなので、操作性とか回路図エディタなどが各ソフトで異なっているだけと推定します。

 そこで、インターネットで探せる情報源をリストにまとめてみました。

 

4.SPICEモデル

 先に書いたようにエンジン部分は共通なので、シミュレーションで使う各素子のSPICEモデルが流用可能です。SPICEモデル記述はテキスト表記なので、メーカが提供しているデータをダウンロードし、関係ファイルにコピペしたり、ファイルを追加してパスを通すとLTSPICEで使えるようになります。LTSPICEはLT社が自社デバイスを使ってもらうために無償提供しているようで、LT社のMODELを全部入れてますが、他社デバイスは入っていません。そんな訳で使い始めるとジャンク箱にたくさんある日本国内ポピュラーデバイスを使いたくなります。またそのためにはデータをどこかから探してくる必要があります。(もちろん自分でモデリングされてもかまいません)

 デバイスメーカからあるいは作者さんから提供されているSPICEモデルの情報源に関しリストをまとめてみました。

 

5.SPICEモデルのLTSPICEへの導入

 回路記号はそのまま使って、パラメータを使う方法、回路図記号から取り込む方法があります。取りまとめ中。しばらくお待ちください。とりあえずは先日ブログで書きとめたものを参考にしてください。

 ブログでの説明1

 

6.ご注意 著作権などについて

 ご紹介している各ソフトやデータや紹介情報については著作権がありますので許諾条件を確認、注意しご利用になってください。このホームページは個人の非商用利用(アマチュアや学生の試作実験)を意図して作っています。

LTSPICEはリニアテクノロジー社が供給する著作物です。

OrCAD PSPICEはCADENCE社が供給する著作物です。

SPICEモデルは提供デバイスメーカあるいはモデル作成者の著作物です。

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